1、葉の感じ、花、増殖、ハオルチアの名前
-葉の感じは
葉の切り口はアロエみたいにみずみずしく、しぼると水が出てきます。
でもなめてみたことはありません。
-花
時々葉のすきまから太さ数ミリ、長さ数十センチの花茎を数本上げて 花を咲かせます。
花の着き方はアロエと似ていますが、花と花の間隔が広くまばらに咲き、 個々の花も小さく、白を基調にした花色でとても地味なもので、 観賞には向かないでしょう。
アロエに比べるとえらく手抜きをしている感じです。
-増殖
自家受粉では種子ができないのと交配を怠っているために、 今までに種ができたことはありません。
また種ができたとしても、これ自身が交配種であるのと、 更に他の系統との交配になる事から、 全く同じ姿の子孫は出てこないと思います。
出てきた脇芽を取って育てるのが同じ姿の株を残す最善の方法なんですが、 これの交配親は両方とも脇芽をなかなか出さない種なので、 簡単には増えてくれないと思います。
-ハオルチアの名前
属名のハオルチア Haworthia は、 イギリスの植物学者である Adrian Hardy Haworth(1768-1833)の名前から 取られたものとされています。
オブツーサのこと
南アフリカ産の多肉植物です
この丸い葉っぱは 現地では石ころの間にまるで石のように知らん顔して生えています
ほとんどが地面の下に隠れるので 少しでも光を取り込んで光合成をするために 葉っぱの表面は半透明になっています
ハオルチアの生息地が出ているサイトがありました
http://www.asphodelaceae.com/blog/archives/6
ハオルチア属は広義のユリ科に、そして現在はアロエ属などと共に ツルボラン科 family Asphodelaceae に分類されています。
蛇足ながら「広義の」ユリ科と言うのがくせ者で、 植物学者にとって広義のユリ科とは分類のはっきりしない単子葉植物の属を、 とりあえず押し込んでおくところみたいな雰囲気だったようです。
つまり広義のユリ科とすると漠然としすぎるので、近年になって分類が見直され、 ツルボラン科をはじめいくつかの科が新設されたらしいです。
Haworthia obtusa と言う種は現在のところ H. cymbiformis var. obtusa に 分類されています。正確を期せば現在有効な学名を記載すべきですが、 古い方の学名を使っても誤りではないとされているようです。
特に日本人は古い学名を使うのを気にしませんね。
しかも学者でないマニアが「オブツーサ」と呼ぶ品種には、 H. cymbiformis var. obtusa の他に H. cooperi の一部も含まれており、 今回の品種も実際は H. cooperi ではないかと思われます。
ハオルチア属はリンネの時代から知られているグループにもかかわらず、 今世紀に入っても万人を納得させる分類には至っていないようで、 権威とされる現地の学者が唱えたものに合わせる一般人が今のところ多いと言う、 「コンセンサス」レベルの分類であるように思えます。
例えばこの植物の収集・分類に歴史的にかかわっているドイツの、 現代の研究者は「権威ある現地の学者」とはまた違った分類を新たに提唱しています。
そんなこんなで議論がややこしくなるので、個人的には「オブツーサ」のままにしておくのが無難ではないかと考えています。